新NAFTAが発効 グローバル化転機の象徴

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ワシントン=青山直篤
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 北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる貿易協定「米・メキシコカナダ協定(USMCA)」が7月1日、発効した。自動車などの製品供給網(サプライチェーン)を米国に集めようとするトランプ米政権の保護主義的な意向を反映した改定で、冷戦終結後に米国自らが推し進めたグローバル化の転機を示す象徴の一つとなる。

 新協定では、トランプ氏がこだわる自動車分野で、域内部品を使うよう求める「原産地規則」を厳格化。関税が免除されるための北米での生産部品の割合は従来62・5%だったが、発効後は3年間で66%から75%へと段階的に引き上げる。生産の約4割は時給16ドル(約1700円)以上の労働者が担う必要もあり、米政権は賃金が高い米国への生産移転を狙う。メキシコで生産するトヨタ自動車日産自動車マツダなど日本の完成車・部品メーカーは戦略の練り直しが必要となる。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、メキシコに進出した日系メーカーの現地調達比率は19年時点でも約25%と高くない。基幹部品などの現地調達が必要となる新たな原産地規則への対応は簡単ではない。11月の米大統領選政権交代があれば運用が見直される可能性もあり、不透明な投資環境が続く。

 米政権が検討してきた安全保障を名目とする追加関税については、メキシコとカナダからの輸入車は年間各260万台までは対象としない、と補足文書に盛り込んだ。世界貿易機関(WTO)ルール違反の数量規制につながりかねない。米国が日本や中国などからの輸出を念頭に批判してきた「通貨安誘導」を禁じる「為替条項」も入った。米国から国外に資金を投じる投資家の保護規定も弱め、発効後6年で協定の存続について再検討する。

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