子どもへの制約、行き過ぎでは? 友だちできない新学期

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中井なつみ 有近隆史
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 隣の席にはだれもおらず、おしゃべり禁止、登下校も一人……。ようやく学校が全国で再開され、喜んだのもつかの間、友だちができないと悩んでいる子たちがいます。専門家からは、コロナ禍での子どもに対する制約が行き過ぎではないか、検証を求める声も上がっています。

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 「おかえり、お友だちはできそう?」「ううん、誰とも話していないよ」

 都内に住む女性(34)の家では、公立小学校の1年生になった長男(6)と、こうしたやりとりがほぼ毎日続いている。

 幼稚園を卒園した3月以降、外出もままならないなか、長男は学校で新しい友だちを見つけ、一緒に遊べる日はいつかと指折り数えてきた。だが6月、ようやく半日の分散登校で始まった学校生活は、思い描いていたものとは違っていた。

 教室の隣や前後の席に友だちはいない。休み時間も「おしゃべりはせず、静かに座りましょう」と指示される。近所のクラスメートがいても、「登下校は一人で」とされ、距離を保って歩かなければいけない。

 女性は言う。「学校が始まったのはうれしいが、禁止ばかりされている子どもがつらそうだ」

 この小学校がある自治体の教育委員会によると、文部科学省や都教委の指針をもとにしたガイドラインで「近距離での会話や発声などをできるだけ避けるため、少人数やグループによる話し合いは控える」などとしているが、友だち同士の会話を禁止しているわけではないという。担当者は「現場も様子を見ながらなので、多少混乱があるかもしれない」と話す。

 恵泉女学園大学の学長で、子どもの発達に詳しい大日向雅美さんは、「感染予防を重視するあまり、子どもたちの心に『他者との交わりは怖いもの』という意識が植え付けられないか不安」と話す。

 大日向さんによると、就学前の年長~小学校低学年の時期は、子どもたちが人間関係の基礎を学ぶ重要なタイミング。友だちや近所の大人など、家族以外の人と触れ合い大切にされる経験を重ねることで、信頼関係を構築したり、周囲から愛されているとの安心感を得たりしていくという。

 大日向さんは「子どもを孤立させるのではなく、生活を守る工夫はできるはず」と話す。

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