高校生、「公式」の背中押す 模擬国連オンライン開催へ

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西村悠輔
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 高校生が本物の外交官さながらに議論を繰り広げる「模擬国連」の全国大会が今夏、コロナ禍の影響で見送りになった。代わりに決まったのが来年1月、初めてのオンライン開催だ。それに先行する形で、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使った生徒の自主活動が次々と生まれている。大会運営に関わる教員は「ITを駆使して、あっという間に実現した高校生たちの行動力はすごい」と驚く。

 模擬国連では、生徒が一国の大使になりきって環境・経済・平和など地球規模のテーマを話し合う。実際の歴史や外交関係などを踏まえ、各国と議論を重ね、合意形成した「決議」を採択する。解決策を探る過程で国際政治の仕組みを知り、様々な学びにつながる教育プログラムだ。

 3年前に始まった全国高校教育模擬国連大会(AJEMUN)は毎年8月、2日間の日程で、東京の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれてきた。しかし大ホールや複数の会議室で白熱の討議を行うため「3密」が避けられない。3月以降の各校独自の会議も中止や延期になり、今年8月の次回大会も見送りが決まった。

 そんな中、高校生たちの自主的なオンライン模擬国連が次々と始まった。

 4月下旬と6月初めにオンライン模擬国連を開いた団体「もぎこみゅ!」はその一つ。共同運営者の一人で、横浜市の公文国際学園高等部3年の大野桜子さん(17)は「ファシリテーター(進行役)を置けるし、初心者の人にも声かけしやすい」と話す。各回30~40人が集まり、本番並みの5~7時間の議論が不自由なくできた。カメラオフで顔を出さない参加も可能で、「名前も学校名もNGな子が参加してくれた」良い面もあった。

 4月にできた団体「Let’s MUN!(レッツ・エムユーエヌ)」の代表、神戸市の灘高校3年の石川将さん(18)は「オンラインなら地域の壁がない。今までは関東や関西が中心だったが、地方にも輪を広げることができた」と話す。SNSなどで参加者を募り、今月の会合には米国など海外からも高校生2人が時差を超えてつながった。

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