コロナ禍で遠い夏の海 各地で相次ぐ海水浴場の開設中止

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川田惇史 西田有里 大野宏
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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、各地で海水浴場の開設中止が相次ぐ。不特定多数が利用する更衣室や混雑するビーチで十分な感染予防策がとれないことが理由だ。ただ、監視員がいないと水難事故の危険もあり、自治体は対応に苦慮している。

目の前のビーチは「休止」

 見渡せば真っ白なビーチと青い海。大阪府泉南市のりんくう南浜海水浴場の砂浜には、緑色の三角コーンが置かれ、「今年の海水浴場は開設中止します」の貼り紙があった。

 近くには、白い真新しい建物が並ぶ。ホテル並みの設備でキャンプ体験ができる「グランピング」の施設で、一帯は大和リース(大阪市)が約23億円かけて整備し、「SENNAN(センナン) LONG(ロング) PARK(パーク)」として7月3日にオープンする予定だ。バーベキューや巨大アスレチックなどもあるが、夏場は海水浴場が目玉だった。

 当初予定した4月28日のオープンは、新型コロナの影響で延期され、5月19日には海水浴場が中止に。泉南市産業観光課の担当者は「混雑は避けられず、更衣室も感染リスクが高い。周辺も開設を見送っており、ここだけ開ければ人が集まってしまう」と話す。

 りんくう南浜を含む府内全4カ所の海水浴場はいずれも、開設主体の自治体や地元観光協会が「感染拡大防止のため」として開設を見送った。

 海水浴場の開設には府の条例で更衣室やシャワー室のほか、監視・救護の施設と人員を置く必要がある。開設されない場合も、海辺への立ち入り自体は禁止されない。勝手に泳ぐ人が出てくる可能性もあり、水難事故の危険性が高まる。

ライフセーバーいない海は危険

 昨年約24万人が訪れた須磨海水浴場(神戸市須磨区)も、近くのアジュール舞子海水浴場(同市垂水区)とともに、市が開設中止を決めた。海水浴客同士が一定の距離を保つことは不可能と判断。ライフセーバーが訓練できず、監視員の確保が難しいことも理由となった。警備員が周辺を巡回するが、市の担当者は「遊泳を禁じる法的根拠はないが、ライフセーバーがいないので危険だ」とし、遊泳を控え、散歩や水遊びにとどめるよう呼びかけるという。

 兵庫県内ではほかに、淡路島北部の淡路市も市内7カ所の海水浴場を開設しない。島外から人が集まることに市民から不安の声があったという。南あわじ市洲本市も海水浴場の開設を見送った。

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 一方で、日本海側に位置する…

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