トヨタ車「全部ある」の販売改革 コロナ禍サバイバル

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近藤郷平
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 トヨタ自動車の国内販売が転換点に突入している。「カローラ店」や「トヨペット店」など、四つの系列の販売店で扱う車が違っていたが、5月からは4系列で同じ車を売る「全車種併売」がスタート。そうしたさなかにコロナ禍が直撃した。危機をどう突破するか――。販売の現場でも厳しいサバイバルが始まっている。

 販売が始まったばかりのSUV(スポーツ用多目的車)のハリアーや定番のカローラ、……。6月20日に三重トヨタ自動車が開業した「トヨタウン名張店」(三重県名張市)は、トヨタの販売店で国内最大級の売り場面積を誇る。テニスコート7個半に相当する約1870平方メートルのフロアに店内に24台、屋外にも5台を展示し、30車種近くがずらりと並ぶ。店の周りには「トヨタぜんぶあるよ!」の文言でアピールするのぼりが幾つもはためいている。

テニスコート7面分に約30車種

 「トヨタ店」を展開してきた同社は、これまで旗艦セダンのクラウンなどを販売してきた。新たにハリアーなどを加えて、全車種を扱えるようになり、お客が多くの車種に触れられる店づくりを工夫した。店内の中央には自由に飲み物を楽しめるオープンカフェを設け、ファミリー層を意識した大規模遊具を備えたキッズスペース(新型コロナ対策で利用休止中)もある。販売店というよりも、遊び感覚でも立ち寄りたくなるような空間だ。店外の中古車を含めると約100台を取りそろえる。

 1942年創業。トヨタの販売店として国内で3番目という歴史を持つ三重トヨタが販売環境の激動期に、「第2の創業」との思いを込めてオープンした。開業直前に顧客や取引先などを招待して開いた内覧会では、訪れた人たちが自由に車を見たり、くつろいだり。店内には「おトクの窓口」をもうけ、お客が相談すれば、新車や中古車だけでなく、レンタカーや保険、定額制サービスなど、「トヨタができること、よさをすべて提供していく」(広報担当者)という。男性客(67)は「トヨタは系列ごとに売っている車が違うことは知っていたけど、店舗ですべてを選べるのは便利。これだけの規模があれば、集客力も高まるはず」と店の広さや車の多さに驚いていた。

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 同様のコンセプトで、5月8…

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