2月23日のサッカーJ1開幕節で、史上最多タイとなる631試合出場を達成したガ大阪のMF遠藤保仁(40)。日本代表でも152試合という最多出場記録を持つ。
代表の中心を担っていた頃、彼はチームの心臓と呼ばれていた。全身に血液を循環させる鼓動のように、一本一本に意図を込めたパスさばきで周りを動かしていた。
心臓になったのは、2006年の夏だったと思う。
2006年の夏。千葉をJリーグ屈指の強豪に鍛え上げたイビチャ・オシムさんが、日本代表監督に就任したばかりの頃の合宿だった。練習試合のハーフタイム。ひねた物言いで選手に考えることを求め続けた65歳(当時)の新監督が珍しく、ある選手を真っすぐほめた。
「お前はピンチとチャンスを嗅ぎわけられる。そのままプレーしろ」
視線の先にいたのが、遠藤だった。
いまなら至極まっとうな賛辞と…