第11回なぜ真夏に 選手を大切にしている五輪か 小鴨由水さん

有料記事再考2020

聞き手・構成 菅沼遼

再考2020⑪

新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックは1年延期となった。東京大会の意義はどこにあるのか。立ち止まって考えてみたい。

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 オリンピック(五輪)は選手のその後に大きな影響を与える特別な大会です。私は1992年のバルセロナ五輪で人生が変わりました。

 その年の1月、「一度マラソンを走ってみたい」と思って出た大阪国際で優勝しました。初マラソンでしたが、タイムは当時の日本最高記録(2時間26分26秒)。4年に1度の巡り合わせが重なり、五輪代表に入ってしまいました。

 無名だったのに急に注目される。20歳だった私は知らず知らずのうちに周りの期待を重圧に感じるようになりました。今思えば躁鬱(そううつ)の状態でした。元気に走った次の日に外にも出たくなくなる。「辞退したい」と周囲に伝えたこともありました。

 本番前日、「明日、やっと解放される」と思ったのを覚えています。結局、タイムは1月より30分以上遅く、29位。レース後は脱水症状で点滴を打ってもらいました。悔いはありません。完走できただけで満足でした。

 翌日から他の種目のレースを見ました。観客は国籍関係なく、選手を声援で後押しして、自己ベストを出した選手に大きな拍手を送っていました。その雰囲気が素晴らしかった。これが平和の祭典なんだと感じました。

【動画】コロナ対策などで簡素化されることが決まった東京五輪。その姿とは?
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 来年の東京五輪も、もし開催…

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連載再考2020(全14回)

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