コロナ禍の緊急融資に「うまみ」 群がる地銀の思惑とは

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柴田秀並
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経済インサイド

 「うちでは融資をお引き受けできません」。法人向けサービス会社を経営する男性社長は、地元信用金庫から電話でそう告げられた。5月上旬に信金を訪れ、資金繰りの相談をして、政府が打ち出した実質無利子・無担保の融資を申し込んだ。そして1週間待った末の「ゼロ回答」だった。

 男性は会社を創業して10年超。最近は大手の受注も増え、業績は順調に伸びていた。しかし、新型コロナウイルスの問題で状況は一変。外出自粛で経済活動は止まり、男性の会社も資金繰りが厳しくなった。相談した信金の支店長はこれまで会えば「何でも相談してください」と言ってくれていた。それなのに――。ご丁寧に手渡していた決算書類は後日郵送されてきた。

 コロナ禍で巨額の経済対策を打ち出した安倍政権。中小企業などの資金繰り支援でも異例の政策が次々に決まった。そうした中、地域金融機関の融資の現場で起きている、ある「異変」とは。

なぜ融資を断られたのか

 新型コロナが日本経済を直撃し、政府は3月、資金繰りが悪化した企業への金融支援策を打ち出した。政府系の日本政策金融公庫を通じ、売り上げが急減した企業へ実質無利子・無担保で融資するものだ。

 ただ、すぐに公庫の窓口は申請が殺到してパンクした。そこで政府は「史上初めて、民間金融機関で公庫と同一の融資をできるようにする」(安倍晋三首相)と表明。公庫に加えて民間金融にも緊急対策の窓口になってもらい、資金を素早く企業に届ける狙いがあった。5月から始まり、5月27日時点で申し込みは約21万件に上る。「公庫の件数も遠からず抜くだろう。地域金融機関の底力を示した」(与党議員)との声も漏れる。

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 それなのに、なぜ男性は信金…

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