(小説 火の鳥 大地編)59 桜庭一樹 内地から意外な客が

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 私は次女の麗奈を呼び、見合い結婚を命じた。租界の夜遊びでおかしな虫がつく前がよいだろう。相手は――間久部緑郎少佐だ! 兄の硝子(がらす)は「えーっ、てっきり日本人会の御曹司と結婚させると思っていたら、か、關東軍の少佐ですか?」と驚き、祖母の雪崩は「田辺さんのご長男? あのときの……。マァ、あの男の子!」と涙を流して賛成した。

 緑郎くんは二つ返事で了承してくれた。麗奈も私に逆らうはずなく、話はトントン拍子で進んだ。

 私は東條たちとよく相談し、今回の火の鳥調査隊には別の隊長を立てて出発させることとした。

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 十一月初め。外灘(バンド)…

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