閉店した老舗文具店 「恩返し」は倉庫一杯のレトロな品

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伊東邦昭
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 ガリ版のローラーや「プリントゴッコ」(家庭用簡易印刷機)、レタリングや事務用の勘定科目の判子……。松山市中心部の銀天街で70年近く営業し、5年前に閉店した文房具店「福井善商店」の元倉庫が今年、「松山昭和文具展示室」として開館した。懐かしさが漂う文房具が所狭しと並ぶ。運営する元店主の福井和彦さん(72)は「松山の人々にかわいがってもらった恩返しとして開いた」と話す。

 福井善商店は1946年、朝鮮半島から引き揚げてきた和彦さんの父・善行さんと母・千代さんが、松山市河原町に開業。翌年、銀天街に店を移した。善行さんに大阪の大手の紙問屋との縁があったことから、当時は珍しい一流メーカーの文房具を取り扱い、官庁や企業との取引ができたことから経営が安定。長らく営業を続けてきたが、100円均一の店やネット通販に押されて2015年に店を閉じた。

 「商店街に勢いのあった時代に商売をすることができた」と福井さん。店舗跡はコンビニに生まれ変わったが、店舗近くに1957年ごろに建てられた木造2階建ての倉庫兼住居と、在庫の文房具が残った。そこで、約20坪の倉庫を展示室として開放することにしたという。

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 展示品は「貴重なものはない…

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