訪問保育で相次ぐ事件 防ぐはずの仲介サイト、機能せず

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滝口信之
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 シッターを仲介するサイトを通じて訪問保育を受けていた子どもが、性被害に遭う事件が相次いでいる。幼い兄弟が殺害されるなどした6年前の事件を受けて対策が進んだものの、シッターの質の確保に依然課題が付きまとう。利用する場合、どこに注意したらいいのか。

 4月以降、訪問保育中の事件でシッターが警視庁に相次いで逮捕された。男(29)は昨年9~11月、未就学の男児2人に計3回、それぞれの自宅で性的暴行を加えたなどとされる。別の男(30)は今年5月、女児(5)宅と散歩に連れ出した公園のトイレでそれぞれ、女児の下半身を触った疑いがある。いずれも保育士の資格を持ち、同じ仲介サイトを通じて親から依頼を受けていた。

 仲介サイトには、登録されたシッターの保育経験などの情報が掲載され、保護者らが都合に合わせて選ぶ。大手の登録数は数千人とされ、共働き世帯の増加などを背景に、急に必要になったときにも見つかりやすいと評判という。

 1歳の長男がいる都内の会社員女性(32)は昨年7月ごろから週2、3回、資格試験の勉強の際に利用している。自身や長男が体調を崩して急きょ頼んだときにも、翌日には駆けつけてくれたという。「保育にも問題はなく、使ってみてよかった」と評価する。

 仲介サイトをめぐっては2014年3月、シッターの男が預かった男児(当時2)を殺害し、弟にも重傷を負わせる事件が起きた。これを受け厚生労働省は、シッターの自治体への届け出と研修受講を定めた制度を導入。さらにサイト事業者向けに、登録できるのは研修を修了したシッターに限る▽苦情やトラブルの対応窓口の設置や解決に取り組む――など7項目のガイドラインを策定した。項目ごとに適否を判定し、承諾を得られた14の事業者について結果を特設サイトで公開している。

 だが結局、シッターや事業者次第というのが実情のようだ。長男の保育で仲介サイトを利用した都内の会社員女性(39)によると、シッターが特定の宗教や政党に関する冊子を持参したり、頼んでもいないバイオリンの指導をして別途料金を請求してきたりした。外国語を教えて「この国の文化はすばらしい」と言うシッターもいたという。女性が苦情をサイト事業者に伝えても、「当事者同士で解決を」と対応されたという。「シッターに自宅を知られているので逆恨みも怖い。事件に遭わずに済んでいるのは単なる運だと思う」と話す。

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