「愛の不時着」、どこまでリアルなのか 脱北者に聞いた

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ソウル=神谷毅
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 日韓で最近、人気を集めている韓国ドラマが「愛の不時着」だ。韓国の財閥令嬢がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着し、出会った軍の将校と恋に落ちる……。荒唐無稽とも言える物語だが、脱北者に徹底的に取材して描いたという北朝鮮の「日常」も話題だ。現実の世界では最近、韓国に軍事挑発さえちらつかせる北朝鮮だが、そこには約2500万の人々が暮らしている。ドラマの出演者も含めた脱北者に会い、「北朝鮮の暮らし」のリアルを聞いた。

 ソウル近郊のカフェで待っていると、白にチェック柄の入ったジャケットとホットパンツ姿の女性が、アコーディオンを入れたケースを引きながらやってきた。脱北者の尹雪美(ユンソルミ)さん(34)。ドラマには、北朝鮮の列車の中でアコーディオンを弾く女性役で出演している。

 「愛の不時着」は韓国では昨年12月に放送が始まり、高い視聴率を記録した。財閥家の令嬢にソン・イェジン、北朝鮮の軍将校にヒョンビンという人気俳優を配したこともあるが、韓国の人たちにとって、北朝鮮に対する「へ~」がたくさん詰まっていたことも人気の理由だ。

 40代の韓国の女性会社員は「北朝鮮でダイエットのことを『肉減らし』、新興の金持ちを『金主』と言うなんて、ドラマを見るまで全く知らなかった」と話す。

 ドラマの制作陣は、韓国に逃れた多くの脱北者に話を聞き、北朝鮮の生活を描いた。2014年に中国経由で脱北した尹さんも取材を受けた一人。「(ドラマに出てくる)軍将校の婚約者のように、あそこまで超高級ブランドで身を固めた人はいませんよ。そんなありえない部分もあったけど、脱北者が見ても鳥肌が立つくらい、暮らしの細部を再現していましたね」

 市場(いちば)で、香りのするろうそくを軍将校が探す場面がある。

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尹さん 「北朝鮮には『市場に…

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