さよなら猪苗代の「はくちょう丸」 運航会社が破産申請

上田真仁
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 猪苗代湖と桧原湖で観光船を運航する会社「磐梯観光船」(猪苗代町)が、福島地裁会津若松支部に破産手続きを申し立てた。「はくちょう丸」などが観光客らに人気だったが、近年は客足が伸び悩んでいたうえ、新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけた。これで二つの湖の観光船は姿を消すことになる。

 新型コロナで4月13日から休業していたが、今月15日に事業を停止した。代理人弁護士によると、負債総額は調査中。同社は「最後にもう一度だけでも運航したかったのですが、実現することができず、本当に残念です」とのコメントをホームページに載せた。

 同社は1959年に設立され、二つの湖で計4隻の観光船を所有。とくに猪苗代湖の「はくちょう丸」と「かめ丸」はユニークな形で、観光や修学旅行などの子どもたちに親しまれた。昭和天皇がダイヤモンド婚を記念した旅行で乗船されたこともあった。

 信用調査会社によると、最盛期の乗船客は年間約10万人。しかし、レジャーが多様化したことに加え、原発事故風評被害を受けて、客足が落ち込んだ。今年はかき入れ時の春の大型連休に営業できず、夏場の需要も見込めないことから、事業継続を断念した。

 猪苗代湖畔の「レイクサイドホテル みなとや」の渡部英一社長(68)は「湖の観光の看板で、なくてはならない存在だけに寂しい思い」と語った。

 前後公・猪苗代町長は16日、朝日新聞の取材に対して「コロナ収束後に(観光船を)町の活性化につなげていきたいと思っていた。残念としかいいようがない」。小椋敏一・北塩原村長は「突然の話でびっくりした。今後どんなことができるか、考えていかなければならない」と述べた。(上田真仁)

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