聞き手 編集委員・牧野愛博
日本政府が15日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を発表した。装置の安全性や、その改修にかかる費用面などを理由としている。2017年12月のシステム導入決定時に自衛隊制服組トップの統合幕僚長だった河野克俊さんに、今回の決定の影響などを聞いた。
政府は配備計画を停止するとしているが、事実上の廃棄だろう。突然の決定で非常に驚いている。17年に導入を決めたのは、国民が相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイル発射に脅威を感じたからだ。北朝鮮が大量のミサイルを発射した場合、イージス艦配備の迎撃ミサイルSM3と、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)だけでは足りないという世論の盛り上がりがあった。
当時、導入可能な装備はイージス・アショアと高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD(サード))しかなかった。防衛能力や費用対効果などを総合的に判断し、イージス・アショアの導入を決めた。米国製兵器を購入してほしいという米側からの圧力は全くなかった。
政府が今回、配備停止の理由と…