首相ヤジ排除訴訟、道側が証拠にヤフコメ引用 原告批判

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榧場勇太 斎藤徹 伊沢健司
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 昨年7月の参院選で、札幌市で街頭演説中の安倍晋三首相にヤジを飛ばした男性(32)と女性(24)を北海道警の警察官が排除したのは政治的な表現の自由の侵害だとして、2人が道に慰謝料など計660万円を求めた国家賠償請求訴訟の弁論が15日、札幌地裁(広瀬孝裁判長)であった。道は女性への措置について、「適法な職務執行だった」とする書面を提出した。

 道警は2月の道議会で、警察官による「避難」や「犯罪の予防及び制止」を定めた警察官職務執行法に基づく「必要な職務執行」だったと説明していた。今回の書面で、JR札幌駅前で女性が「増税反対」「自民党反対」などと叫んだ際、「聴衆の大多数が自民党の支持者であると認められた」と指摘。女性を放置した場合、警察官は「自民党支持者との間でもめ事が発生する危険を感じた」として、女性の腕をつかんで聴衆の数メートル後方へ「避難」させたとしている。

 一方、原告側は書面で、少数者が危険だからといって「避難」させられれば、「多数の中にいる少数者が声を上げる機会を封じることになる」と反論。「表現の自由を尊重しようとの視点を全く欠如したもの」と非難した。

 これとは別に、原告側は、道側が3月に出した書面の中で、道警に肯定的なインターネット上の匿名の書き込みを証拠として引用したことも批判した。書き込みはヤジ排除を伝えるヤフーニュースのコメント欄に寄せられたもので、「大声で叫び普通に演説を聞きたい人々を妨害し迷惑をかける行為は全く共感しません」「静かに聞きたい聴衆の邪魔をするような人間は排除されて当たり前」といった内容だった。

 原告側は、「演説を聞く聴衆の迷惑になる行為は排除されて当たり前」との考え方に、「被告自身が肯定的・親和的」だと主張。そのうえで、「安倍首相の演説を聞きたい人の迷惑になるから排除したという警察官らの本音が被告の主張に凝縮されている」と指摘した。(榧場勇太)

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