南北戦争もコロンブスも BLMが問い直す差別の側面

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ワシントン=渡辺丘 ニューヨーク=鵜飼啓
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 白人警官が黒人男性を暴行して死なせた事件をきっかけに、米国内では人種差別の歴史が改めて問われている。19世紀の南北戦争奴隷制を守ろうとした南部連合のシンボル撤去の動きが相次ぎ、「新大陸発見者」のコロンブスへの反発も出ている。

BLM

 ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)の略。米国で5月、黒人男性のジョージ・フロイドさんが、白人警官に首を押さえつけられて亡くなる事件があった。それをきっかけに、世界各地で叫ばれている。直訳すれば「黒人の命は大切だ」。背景には「みんな平等に大切な命なのに、黒人の命は軽視されてきた」という問題意識がある。「黒人の命も大切だ」の方が近い。最近の米国のデモはむしろ白人が目立つ。1960年代の公民権運動と似たうねりが起きているとも言われている。

 「我々を奴隷にしたことを誇る名前が米軍基地に残る限り、この国の一員だと心から感じるのは難しい」

 米ニューヨーク市のトンプソン副市長は11日、こう語った。先祖は、南北戦争で南部連合を指揮したロバート・リー将軍の農園で奴隷として働かされた。

 米国内には南部連合の将軍の名前にちなむ米軍基地が複数あり、抗議デモを受けて、「見直すべきだ」との意見が出ている。トランプ大統領は10日、「基地名の変更を検討すらしない。世界で最も偉大な国の歴史を改ざんさせてはならない」と反対を表明したが、抗議の勢いは与党・共和党にも伝わっている。同党が多数を占める上院の軍事委員会は同日、基地の改名などを盛り込んだ修正案を賛成多数で可決した。

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 米軍内でも、南軍旗の掲示を…

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