遺品で知るキーンさんの「和の心」 柏崎のセンター新装

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戸松康雄
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 新潟県柏崎市諏訪町の「ドナルド・キーン・センター柏崎」が、2013年の開館以来、初めての大規模な模様替えを終え、10日、リニューアルオープンした。昨年2月に死去した日本文学研究者、ドナルド・キーンさんの96年の生涯をたどる中で、日本文学との出会いや柏崎とのつながりを紹介する展示を充実。業績だけだけでなく、人柄や「思い」を伝える工夫があちらこちらに見られる。

 施設の象徴として知られるのが、ニューヨークでのキーンさんの書斎と居間を再現した復元展示室。生前、キーンさんが「窓の外にあるハドソン川だけは持ってくることができませんでした」と満足そうに感想を述べたとされる場所だ。

 今回、書斎へ続く玄関のスタンドに、細いストライプが入った黒いスーツが掛けられた。案内をしてくれた学芸員の石黒登志子さん(46)は「キーン先生が実際に着ていたものです。私たちが保管しているスーツには皆、ストライプが入っていますね」。

 書斎の机の上には、ダックスフントの胴体でカードをはさむ金属製の文具や、ナイフで削った鉛筆が入ったペン立てなどが新たに置かれた。愛用品があるだけで、「生活感」がより一層醸し出されるような印象を受けた。

 運営する公益財団法人・ブルボン吉田記念財団理事の吉田真理さん(62)は、リニューアルの目的のひとつを「キーン先生の『原点』を知ってもらうこと」とする。それが、「源氏物語とアーサー・ウエーリ」「太平洋戦争とドナルド・キーン」の二つの新たな常設展示だ。

 キーンさんと日本文学の出会…

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