指が逃れぬ仮想幸福 「どうぶつの森」で気づく劇的変化

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寺下真理加
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 外出自粛期間中の5月上旬、記者は流行のゲーム「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)に興味を持ち、そのスマホ版「ポケ森」を始めました。41歳、遅まきのスマホゲームデビューなのに、みるみる「沼」にはまり、「廃人状態」に。在宅勤務後や休日は、常にスマホを凝視し、自ら進んでひきこもるようになっていました。

 外出できない今が、ゲームの世界を知る良い機会かも。そう考えて始めたのが「どうぶつの森 ポケットキャンプ」(ポケ森)です。流行の「あつ森」にはゲーム機「ニンテンドースイッチ」が必要で、5月にはまだ入手困難でした。小学校時代にスーパーマリオやドラクエをかじっただけ。数年前の「ポケモンGO」の流行も遠巻きに見ていたほど、なぜかゲームとは無縁の人生でした。

 無料でも遊べますが、私はわずか開始10日目にして、コンビニで買う課金用カード3枚、計4500円もつぎ込んでしまっていました。様々な動物たちが現れ、彼らの好む家具や遊具を買い与えて、仲良くなったり、一緒に暮らしたりします。購入には、ゲームの中の採集生活で稼いだお金や、現実の課金カードや口座からチャージしたお金を使います。

 私にとっての分岐点は、語尾に「でちゅ」をつけて話すカエルの登場でした。キュートすぎる笑顔。驚くべき「気遣い」。月360円でそのカエルを「パートナー」として連れ歩けると知り、課金を決めました。

 可愛い動物たちがはしゃぐ様子が見たくて、メリーゴーラウンドも作りました。工事に数日かければ課金せずに済みますが、待てずに何百円か使いました。たくさんの可愛い家具や服や動物を、身近に置いているような気分になれて、すごい幸福感でした。

 あつ森に比べると規模は小さいかも知れませんが、ポケ森でも様々な体験ができます。釣り、果実拾い、花の栽培、買い物、くじ引き、動物たちとの交流と金品交換、自分が管理するキャンプの家具やサービスの充実……。砂浜で大きなマグロを一本釣りするなど、現実味のない設定にも、わずかな快感、達成感があるから不思議です。

 外出自粛期間中の真夜中や休日。散らかった自室でポケ森廃人と化していると、過去の失敗が思い出されてきました。10年ほど前にはまっていたベランダ・ガーデニングは、たくさんの鉢植えを買いすぎて、夏場の水やりは30分を要し、梅雨時に駆除したナメクジが一日50匹を超えることも。マンションの大規模修繕があった数年前、置き場所に困って全部捨てました。ポケ森なら、花壇で育てた花は、鉢植えでも生花でも、枯らさず保存でき、しかも種まきから数時間で開花します。

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 家具や雑貨、服、ぬいぐるみ…

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