コロナで見つめ直す都会暮らしの価値 移住相談が盛況に

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棚橋咲月
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 新型コロナウイルス感染拡大を機に、地方への移住を検討する人が増えている。感染拡大で働き方が変わったことが、自身の生き方を見つめ直すきっかけになっている。ただ感染の終息が見通せず、移住が本格的に動き出すかは未知数だ。

 「こんにちは。よろしくお願いします」。5月31日にあった「オンライン全国移住フェア」。大阪市の会社員塚原壮太さん(31)とこなつさん(28)夫妻はiPadを使い、高知県の移住相談ブースに「入室」した。希望条件は専用のファイルで事前に提出。担当者が、住まいや仕事などを説明する。「周りになじめるか心配です」「子育て環境は?」。質問も挟んで相談は1時間半にわたった。

お金かけて大都市に住む意味って?

 夫妻が移住を考え始めたのは4月のこと。壮太さんの勤務先の商社で感染者が確認され、前月から在宅勤務に切り替わった。

 大阪市内の自宅マンションは1LDKで家賃10万円。光熱費も月1万円かかる。満員電車で通勤し、週2日は会社の飲み会で終電を逃すこともたびたび――。そんな生活に疑問が芽生えた。我慢して通勤しなくても仕事はできる。お金をかけて大都市中心部に住む意味はないんじゃないか。そして、こなつさんの一言が決め手になった。「一緒に過ごす時間が増えたね。うれしいね」

 すでに退職届を出した。2人の実家から近く、移住者支援に手厚い高知県梼原(ゆすはら)町に、7月には移住したいと考えている。「相談で具体的なイメージがわいた。現地にも行ってみたい」

 今回のフェアは、事務局によると、大阪府内で開催する予定だった。感染拡大によりオンラインに切り替えたが、出展者は38道府県138団体、相談の申し込みは参加料1千円でも173人と盛況だった。フェアを企画した周防大島町山口県)定住促進協議会のメンバーでファイナンシャルプランナーの泉谷(いずたに)勝敏さん(46)は「これほどの規模のオンライン移住フェアは過去ないのでは。今だからこそ地方の暮らしの良さを伝えたい」と話す。

 移住仲介サービス「SMOUT(スマウト)」を運営するカヤックLivingによると、5月の月別利用登録者数は1058人で2018年のサービス開始以来最多となり、合計1万4千人に達したという。広報担当者は「元々移住を考えていた人が、感染拡大で背中を押されているのではないか」と分析する。

見えない収束で足踏み

 ただし、移住の時期について悩む人も多い。

 30年暮らした米国から昨年…

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