「水草でこげない」 ボートの聖地、コロナの影響で深刻

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酒瀬川亮介
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 1964年東京五輪のボート会場で、全国のボート選手にとって「聖地」として、いまも全日本選手権など主要大会が開かれている埼玉県の戸田漕艇場(そうていじょう)が、まともに漕(こ)げない深刻な状況になっている。新型コロナウイルスの影響でおよそ2カ月も使用自粛となる間に水草が大量繁茂したためだ。緊急事態宣言は解除されたが、ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点でもある同漕艇場で再び漕げるようになるには、かなりの時間がかかりそうだ。

 戸田漕艇場の水草は3年ほど前から問題になってはいた。ただ、戸田公園管理事務所の担当者は「ここまでひどいのは初めて。おそろしいです」。一時は、2000メートルコースのうち、ゴール前後の5、600メートルにわたって「エビモ」という水草が水面に達して揺らぎ、水面では花を咲かせていた。

 使用自粛になる前、いわゆる“水草シーズン”に入った3月には、ワイヤロープを沈めて地引き網のように水底からさらう実験的な試みとなる大がかりな水草刈り作業をしたが、自粛が始まり、練習する艇がなくなった4月にはすぐに元に戻り、大型連休中にさらにひどくなった。

 緊急事態宣言解除後は、週末ごとに大学ボート部の学生やOBらが自主的に集まり、懸命に水草刈りに取り組んでいるが、解決にはほど遠い。今月6日にコースを訪ねてみると、大学のクルーが艇をコースに出して、水草刈りが比較的進んでいたゴール付近を試しに漕いでいたが、オールに水草が絡まって、とてもまともには漕げない状況だ。

 専門業者に発注すると、藻刈り船という先端にロータリー状の草刈り機がついた船で刈るが、水深1~1・5メートルまでしか届かず、深さが2・5メートルある水底の水草の根までは届かない。いちばんいいのは、根こそぎ抜くこと。昨年、ダイバーが潜って引き抜くことも試したが、公園管理事務所によると「2週間やっても100メートルもいかなかった。水中のジャングルみたいだったそうです」。

記事の後半では、ボート関係者の見方を紹介。「コースの水を全部抜いて、根こそぎやるしかない」という冗談めいた声もあるそうです。「もしやるとなったら、河川の浚渫と同じなので、数年間の年月と数十億円の費用がかかるのでは」

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 管理主体である埼玉県公園ス…

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