岩手)7月11日に県大会開幕 高校野球独自大会

中山直樹 藤谷和広
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 岩手県高校野球連盟は10日、第102回全国高校野球選手権大会岩手大会の中止を受けて開催する独自の県大会の詳細を発表した。新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、練習成果を発揮できる場を用意する。選手からは試合ができる喜びや安堵(あんど)の声があがった。

 大会は公式戦として記録される。出場するかは各校の任意とするが、全69校(65チーム)が出場予定。

 試合数や選手の移動を減らすため、29日から7月5日にかけて県北、盛岡、花巻、北奥、一関、沿岸南、沿岸北の7地区で予選をして代表31チームを決める。

 7月11日からトーナメント方式で県大会を開催し、土日を中心に試合をしながら休養日2日を挟んで決勝は25日の予定。会場は県営野球場(盛岡市)、花巻球場、森山球場(金ケ崎町)、八幡平市総合運動公園野球場の4カ所となった。

 感染防止のため開会式は行わず、原則無観客とする。ただ、ベンチ入りする選手数の2倍までの保護者と、控え選手はスタンドで観戦ができる。選手や関係者は2週間前からの検温と健康チェック、日常生活でのマスク着用を義務づける。

 試合前のグラウンドでのシートノックは中止。勝利チームの校歌斉唱は「選手にとって意義深い場面である」として、選手間の距離をとって実施する。

 大会は県高野連が主催し、日本高野連と朝日新聞社などが後援する。会見で南舘秀昭会長は「3年生は3年間の集大成として、最後まで野球をやりきってほしい。県民の皆さんにも、明るい話題を提供できれば」と話した。

「みんなで野球楽しみたい」「ほっとした」

 夏の岩手大会2連覇中の花巻東。清川大雅主将(3年)は「決まったからには、先輩たちが積み上げてきた連覇を伸ばしたい」と前を向いた。

 選手権大会の中止が決まってから数日間、選手たちは練習に身が入らなかった。それでも主将を中心に声をかけ合い、気持ちを切り替えた。昨夏の甲子園に出場した小野寺輝投手(同)は「本当は甲子園でもう一回投げたかったけれど、最後にみんなで野球を楽しみたい」と話した。

 チームの3年生は39人。流石裕之部長(38)は、ベンチ入りは3年生のみにすることに決めている。「甲子園を目指してきた彼らの努力をなんとか最後に形にさせてあげたい」

 江南義塾盛岡の田沢環太主将(3年)は、独自大会の開催に「ほっとした」と表情を緩めた。

 3年生は2人。田沢主将は1年生の春の大会からレギュラーだ。ただ、これまで公式戦での勝利はゼロ。「勝って校歌をうたう」ことを目標に計14人のメンバーを引っ張ってきた。自身もかつて高校球児で公式戦の1勝に手が届かなかった父の和樹さん(39)は「よくここまで腐らずやってきた。あとは1日でも長く高校野球を続けてほしい」と思いを託す。(中山直樹、藤谷和広)

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