「川崎病」発見した小児科医・川崎富作さん死去 95歳

 原因不明の子どもの病気「川崎病」を発見した小児科医の川崎富作(かわさき・とみさく)さんが5日、老衰のため東京都内の病院で死去した。95歳だった。葬儀は家族葬で営まれた。後日、「お別れの会」を開く予定。連絡先はNPO法人「日本川崎病研究センター」(03・5256・1121)。

 1925年、東京・浅草生まれ。48年に千葉医科大付属医学専門部(現・千葉大)を卒業後、50年から日本赤十字社中央病院(現日赤医療センター)に勤務した。61年、高熱が続いて両目や唇が赤くなり、熱が下がるころに指先の皮がむけるなどの症状が出る原因不明の子どもの病気を見つけた。新しい疾患として50例の患者についてまとめた論文を67年に医療専門誌「アレルギー」で報告。「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)」と名付けられたが、川崎さんが発見したことから川崎病(Kawasaki disease)と世界的に呼ばれる。

 川崎病は現在でも、国内で毎年1万5千例ほどの新たな患者が出ている。重症化して心筋梗塞(こうそく)が起きたり心臓に後遺症が残ったりすることもあるが、原因はいまだ解明されていない。新型コロナウイルスに感染した子どもで川崎病に似た症状が欧米で報告され、注目されている。

 川崎さんは治療や原因究明のために厚労省の研究班長を務めたほか、晩年もNPO法人日本川崎病研究センターの理事長として尽力、患者の電話相談にも応じるなどしていた。海外の学会で講演することも多かった。

 89年度朝日賞、91年に日本学士院賞、2006年には第1回日本小児科学会賞を受けるなど数多くの医学賞を受賞している。10年に東京都の名誉都民にも選ばれている。

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