古墳とバリアフリー、脳性まひの息子と巡った125基

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今井邦彦
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 「推(お)し墳」を熱く語り合う「古墳女子」が出現し、前方後円墳を可愛くアレンジしたクッションが人気を呼ぶなど、古墳ファンの裾野は広がりを見せている。でも実際に古墳を訪ねてみると、入り口が分かりにくかったり、周囲が雑木林になっていたりして、大変な思いをすることも。福岡市南区の元教師、吉田稔さん(64)は十数年前から、脳性まひで車いすを使う長男の健一さん(31)を連れ、福岡周辺の古墳を訪ね歩いてきた。その探訪記「車椅子(いす)ケンイチの福岡近郊古墳案内」(海鳥社)には、古墳ファンの参考になる情報がたくさんつまっている。

 大学で東洋史を学び、福岡市内の中高一貫校で地理を教えていた稔さんが、健一さんと古墳巡りを始めたのは16年前。最初に福岡県福津市の宮地嶽(みやじだけ)古墳を訪ねた。「出土品が国宝になっている有名な古墳なので、車いすでも入れるかな、と思って行ってみた。石室の巨大さに驚き、他にも行けそうな古墳を探して訪ねるようになって、すっかりはまってしまいました」

九州人のルーツ、探る高揚感

 当時、健一さんは養護学校(現・特別支援学校)高等部の生徒。会話は不自由だが、古墳の前で写真を撮る時には笑顔になった。「九州人のルーツ探しに夢中になっている私の高揚感が、健一にも伝わったのかもしれません」。毎週末のように、いつもは父子2人で、遠出をする時には家族で一緒に、古墳巡りをするようになった。

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 この本では福岡県内と、福岡…

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