逃げ場がない…世界でDV急増中 コロナ禍が夫を変えた

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シドニー=小暮哲夫 バンコク=染田屋竜太 ローマ=河原田慎一 パリ=疋田多揚 ニューデリー=奈良部健
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 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、家で過ごさなければならない時間が大幅に増えた。そんな世界でいま、ドメスティックバイオレンス(DV、家庭内暴力)の被害拡大が心配されている。外出規制は緩和され始めたが、避難もままならず厳しい状況に置かれた被害者も少なくない。

 豪州南東部、最大都市シドニーのあるニューサウスウェールズ州。DV被害者の支援団体を統括する「DV・NSW」の報道担当、レナタ・フィールドさんによると、外出規制が始まった3月以降、5月末まで、被害者が支援を求める件数が州内の各団体とも前年比10~40%ほど増えている。

 豪州では5月以降、規制が段階的に緩和されているが、「まだ多くの人が家にいて、祖父母や友人宅などに避難できていない。助けを求める場となる職場の多くや宗教施設も再開していない」とフィールドさん。被害者たちに厳しい状況はさらに数カ月は続くとみる。

相談の電話30%増

 シドニーのNGO「女性のコミュニティー・シェルター」。シドニーと周辺の7カ所で、DVから逃れた人や子どもたちが暮らす避難所(シェルター)を運営する。最近、入所した女子大学生(18)は3月下旬に外出規制が始まった後、父から暴力などの被害を受けた。アルバイト先のカフェが持ち帰りサービスだけになって営業を縮小し、仕事を失った。シェアハウスの家賃を払えず、実家に。母にDVをしていた父の矛先が自分にも向いたのだ。

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 この団体では規制が敷かれた…

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