財政厳しい都、完全な形崩れた五輪 IOCとはすきま風

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長野佑介 軽部理人 安倍龍太郎 遠田寛生=ロンドン 前田大輔 編集委員・稲垣康介
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 新型コロナウイルスの影響で、来夏の東京五輪パラリンピックの開催方式が変更される可能性が出てきた。東京都の財政は厳しさを増し、政権も「完全な形」からの軌道修正を迫られた格好だ。コロナ禍でのスポーツの祭典は、どうあるべきなのか。

コロナ対策で「貯金箱」尽きる東京都

 「五輪・パラリンピックの開催には、都民、国民の共感、ご理解が必要です」

 東京都の小池百合子知事は4日午前、報道陣にそう語り、大会の簡素化を検討していることを明らかにした。

 小池氏が簡素化に言及した背景には、厳しさを増す都の財政事情がある。新型コロナウイルスの対策費は1兆円超に膨れ上がり、「貯金箱」にあたる財政調整基金は9千億円超の残高をほぼ使い切る見込みだ。景気悪化に伴う税収の減収規模は1兆~2兆円に上る可能性が出ている。

 延期してでも大会を開催するとなれば、数千億円ともされる追加費用がかかる。国際オリンピック委員会(IOC)は、最大6億5千万ドル(約709億円)を支払う意向を示しているが、残りの大半は開催都市である都が担うことになる。都は大会の開催は経済浮揚策につながるとの立場だが、都内の感染拡大が続いた4月中旬の段階で、幹部からは「大会の規模を落として最小限にする必要がある」との見方も出ていた。

 景気悪化の底が見えないなかでの開催が、都民の反発を招きかねないとの懸念もある。都には、大会開催について「今はそれどころではない」といった否定的な意見が十数件寄せられた日があったという。

 大会準備を担当する都幹部の一人は、簡素化を視野に入れていたことを明かした上でこう言う。

 「新型コロナ対応で財政が厳しいなか、追加費用をどこまで捻出できるかということもあったので、簡素化は納得できる流れ。何も変わらないまま大会を迎えられるとは思っていない」(長野佑介、軽部理人

安倍首相が今年3月に表明した「完全な形」での五輪開催は、軌道修正を迫られています。記事の後半では、「いろいろな形がある」との政府高官の発言や、IOCとの隔たりを紹介します。

【動画】コロナ対策などで簡素化されることが決まった東京五輪。その姿とは
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■「要は盛り上がる形が大事」…

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