コロナ法律相談 回答:指宿昭一弁護士

新型コロナウイルスの感染拡大で、日本で暮らす外国人の生活もおびやかされています。どのようなサポートが受けられるのか。読者から寄せられた相談などをもとに、弁護士に聞きました。(聞き手・根津弥)

 Q 3月に日本の大学を卒業して就職する予定でしたが、内定を取り消されました。日本で就職活動を再開したいのですが、もうすぐ留学の在留資格の期限が切れてしまいます。

 A 外国人であろうと、内定者が学歴を詐称するなど会社側にとって正当な理由が無ければ、内定取り消しは原則として無効です。労働者としての権利は、外国人も日本人と等しく保護されなければなりません。

 しかし、留学生は就職浪人したくても、在留資格の期限が過ぎてしまえば超過滞在になってしまいます。まずは、在留資格の変更が必要です。大学や専門学校などを卒業した留学生が日本での就職活動を希望すれば、「特定活動」として半年間の在留資格を得ることができます。一定の要件を満たせば少なくとも一度は更新を認められるのが通例なので、1年間は日本に住むことができます。また、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、出入国在留管理庁はさらに柔軟に更新する方針も示しています。

 在学中の留学生への影響も深刻です。留学生は「資格外活動」として週28時間までアルバイトをできますが、夏休みなどの長期休暇には週40時間まで許されます。多くの留学生が、この間にお金をためて生活をやり繰りしています。

 しかし、コロナによる休校で授業期間が後ろ倒しになり、夏休みが短くなる可能性が取り沙汰されています。長時間アルバイトできる期間が減ると、生活できない留学生も出てきます。日本で学ぶ彼らの不安を払拭(ふっしょく)するためにも、政府の対策が必要です。

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いぶすき・しょういち 労働組合での活動を経て、2007年弁護士登録。外国人の労働問題や人権問題に取り組む。外国人労働者弁護団代表。

外国人向けの相談窓口やQ&A

・東京都外国人新型コロナ生活相談センター(やさしい日本語を含め14カ国語に対応) 0120・296・004。平日午前10時~午後5時。

・新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A(多言語対応) https://covid19-labourqanda.jimdosite.com/別ウインドウで開きます

・外国人技能実習生問題弁護士連絡会 03・6427・5902(東京)、011・231・1888(札幌)。いずれも平日日中のみ。

・NPO法人「POSSE」外国人労働サポートセンター 03・6699・9359(東京)、022・302・3349(仙台)。いずれも平日午後5~9時、土日祝日午後1~5時、水曜定休。メールはsupportcenter@npoposse.jpへ。

・法務省人権擁護局「外国語人権相談ダイヤル」 0570・090911(10カ国語対応)。平日午前9時~午後5時。ホームページはhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html別ウインドウで開きます

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 ※Q&Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。