同音異義語の「しゅうそく」 政府が「収束」を使う訳は
校閲センター・加藤正朗
新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が、全国で解除されました。対策の「出口」に向けた報道が増えるなかで、感染の「終息」と「収束」はどう使い分けているの?という質問が、読者から多く寄せられています。
いずれもシュウソクと読む同音異義語。「終息」は「終」の字に、休む・落ち着く意の「息」が付いて、物事が「終わる、絶える」ことを指します。戦前の朝日新聞では「終熄(しゅうそく)」と書いており、「虎疫(こえき)終熄」などの記事が見られます。虎疫はトラの病気ではなく、虎列剌(コレラ)のことです。
澤井直・順天堂大助教(医史学)によると「疫病についての旧内務省の報告では、一貫して『終熄』が使われている」。そして現代でも「衛生学の論文では、感染症には『終息』を使う例が多い」と言います。
一方、「収束」は「集めて束…
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