賞与が3分の1「泣きそう」 医療者、コロナで待遇悪化

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細見るい
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 新型コロナウイルスで、医療や介護の働き手の待遇が悪化している。感染対策のコストがかさみ、患者や利用者が減って、経営が揺らいでいるためだ。

給料やボーナス、カットが続出

 一時金をカットせざるを得ない病院や施設も相次ぐ。国は医療・介護従事者へ最大20万円を配る予定だが、減収分を補うのは難しい。一部では雇い止めや、休みを指示する一時帰休などもみられ、雇用をどう守るかも課題だ。

 医療機関のコンサルティングを手がけるメディヴァによると、一般の患者が感染を恐れて受診を控える動きがめだつ。同社が全国約100の医療機関に感染拡大の前後で患者数の変化を聞いたところ、外来患者は2割強、入院患者は1~2割減った。首都圏では外来は4割、入院は2割減。とくにオフィス街の診療所では、在宅勤務の定着で会社員らの患者が落ち込む。

 メディヴァの小松大介取締役は、医療機関の経営が苦しくなると、医師や看護師らに影響が及ぶと指摘。「非常勤医師の雇い止めも出ている。夏のボーナス支給見送りを検討している施設も散見される」と話す。

 実際、看護師らの給料や一時金が下がるケースが続出している。日本医療労働組合連合会(医労連)が28日にまとめた調査では、愛知県の病院が医師を除く職員の夏の一時金を、前年実績の2カ月分から半減させることを検討。神奈川県の病院では夏の一時金カットに加え、定期昇給の見送りや来年3月までの役職手当の2割カットなどを検討しているという。

 医労連の森田進書記長は「職員の一時金1カ月分(月例給)はだいたい30万円。コロナ患者を受け入れている医療機関の勤務者には最大20万円が支給されることになったが、賃下げ幅が上回る可能性がある」と話す。

 職員の夏の一時金を、当初想定していた額の3分の1に引き下げる病院もある。埼玉県済生会栗橋病院(同県久喜市、329床)は、新型コロナの入院患者も受け入れている。短時間で結果がわかる検査方法も採り入れ、積極的に治療にあたっている。4月の病院収入は前年同月より15%減で1億2千万円減った。新型コロナの対応に集中するため、良性の腫瘍(しゅよう)の手術など急を要しない治療を延期している。受診控えもあって、4月に入院した患者は前年同月比25%減の450人ほど。1日あたり約600人だった外来患者は520人ほどまで減った。院長は経営環境について「つぶれるんですか、というレベルだ」と打ち明ける。

 看護師や臨床検査技師ら職員の夏のボーナスについて、感染拡大前に想定した額の3分の1にまで減らさざるを得ないという。コロナと向き合う職員らからは「泣いちゃいそうです」という声も上がっている。院長は「命を張って業務にあたってくれているのに申し訳ない。辞める人も出てくるかもしれない」と話す。

 7月からは祝日にも病院を開け、手術や検査などを増やそうとしている。だが、患者がどこまで戻るかは見通せない。

 全国医師ユニオンが都内で16日に開いたシンポジウムでも、懸念の声があがった。千葉県内の民間病院に勤める研修医は「給料が下がる不安が大きい。すでに給料が10%カットされた病院もある。現場でのストレスが強くなるなかで給料まで下がったら、もうやっていられないという人も出てくる」と訴えた。

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