仕事、学校、客足…新しい日常、戻ったものと戻らぬもの

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小若理恵 田中章博 石村裕輔 前田朱莉亜 中井なつみ 田中祐也
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 新型コロナウイルスが変えた私たちの暮らしは、緊急事態宣言の解除後も続きます。宣言解除から1、2週間経つ地域では、不安や葛藤を抱えながら、手探りの「新しい日常」が始まっています。

公園は勤め人の昼食の場に

 緊急事態宣言が大阪、京都、兵庫の3府県で解除されてから初の週明けとなった25日、昼食時を迎えた大阪市西区の靱(うつぼ)公園では、弁当を食べるスーツ姿の会社員らが多くみられた。

 縁石に座って食べていた会社員の吉本新さん(26)と同僚の西本昌平さん(27)はこの日から、通常勤務に戻った。付近の飲食店も営業を再開したが、2人は「まだ感染が怖いから、しばらくは公園での弁当を続けたい」。

 西本さんは「第2波」を避けるため、居酒屋などでの「リアル飲み会」も当面控えるという。東京や地方で働く学生時代の友人らと「リモート飲み会」を経験し、「終電を気にせず飲めるのがいい。遠くにいる友人と話せ、リアルじゃなくても意外に楽しい」と話す。

 吉本さんも暮らしに変化が生まれた。帰宅後に1時間ほど、ジョギングするようになった。「寝起きがすっきりするし、制限が多い毎日のストレス解消になる。新しい楽しみを見つけました」

理髪店 客足戻るも「予約はゆとりもたせる」

 大阪府吹田市で理髪店を営む田所正宏さん(57)は23日、2カ月ぶりの常連客を迎えた。カット用のいすが2席の小さな店はエアコンと換気扇をつけ、窓も開け放っている。「伸びましたね。いつもより短めに切っときましょか」とはさみを入れた。

 緊急事態宣言が出される前から感染防止策をとってきた。予約にゆとりを持たせて合間に換気。マスクを着用し、カウンターには手指消毒のスプレーも置いた。「家族に引き留められた」と言いながらも客は来ていた。

 宣言後は、近くにある大学への学生の立ち入りが禁止になり、「ゴーストタウンみたい。見たことのない閑散とした光景だった」。平日の客数は1人か2人に減った。

 客もピリピリしていた。「換気に窓を開けてほしい」と言われ、寒くても換気を優先するように。親子で来ていた常連客は父親だけで来店し、「子どもの前髪の切り方を教えてほしい」と頼まれた。高齢の男性客の妻から電話で「3密」を避けるための配慮や店の様子を聞かれたこともあったという。

 21日の宣言解除後、学生は戻っていないが、カップルや親子連れらの姿を見かけるようになった。飲食店やボウリング場も営業を再開し、にぎやかさが戻る気配を田所さんは感じている。

 23、24日の来客は約15人と、ふだんの週末の4分の3ほどに。「お客さんはみな、マスクを着けて来た。手指の消毒に気遣う人もいて、衛生への意識は変わっていない。人出は増えても緩んだ感じはしない」

 2カ月にわたって客足が止まっていたことを思えば、予約を目いっぱい詰めたいのが本音だが、「感染を防ぎつつ、安心して来てもらうためにも、今後も予約はできるだけゆとりを持たせるつもり。手探りしていくしかない」と話した。(小若理恵、田中章博)

「震災は復旧すれば元に。でも今回は違う」

 関西3府県の緊急事態宣言が解除された21日、神戸市の池本香緒利さん(57)は派遣の仕事に行き始めた。コロナで3月の開始がずれ込んだ。

 職場まで30分ほどバスに乗る。手すりなどを触らないよう気を使う。車内は混んでいるというほどではないが、以前の7割近くまで乗客が戻っている印象だ。窓が開いているのも以前とは違う。

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 職場にはドアの取っ手なども…

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