10万円で一体感? 日本の「ムラ社会」はどう変わるか

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聞き手=吉川真布
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 安倍晋三首相はすべての国民への一律10万円給付を決めた理由について、「国民との一体感が大切だ」と語った。10万円の給付でどのような「一体感」が生まれるのか不透明なままにもかかわらず、時の権力者からの同調の要請に対する国民からの反発は少なかった。その土壌には何があるのか。公共政策や科学哲学が専門の京都大学こころの未来研究センター・広井良典教授に聞いた。(聞き手=吉川真布)

 ひろい・よしのり 1961年生まれ。千葉大学法経学部教授などを経て、2016年より現職。著書に「人口減少社会のデザイン」など。

 新型コロナの拡大という緊急事態のなか、国民に一体的な対応が必要だという考えは必ずしも誤っていないと思います。日本人や日本社会は「横並び」を好む傾向があるので、首相はこうした点も意識して一律給付を決めたのでしょう。

 日本社会は良くも悪くも集団の中に個人が埋もれ、情緒的な一体感を基盤とし、「空気」や忖度(そんたく)と表裏一体の「農村型コミュニティー」に傾きがち。外出を自粛しない人を非難するような「相互監視社会」「ムラ社会」と重なります。

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