ゴーン前会長なき3社連合 「強化」の会見、肩透かし

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専門記者・木村裕明
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 日産自動車・仏ルノー・三菱自動車の首脳が27日、パリと東京、横浜をネット中継でつないで記者会見し、3社連合の新たな協力関係について説明した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で販売が急減するなか、3社が協力して当面のコロナ危機をどう乗り越えるかについて、各社の首脳から示されたメッセージは乏しかった。株主や取引先、従業員ら多くのステークホルダー(利害関係者)は、肩透かしを食らったのではないか。

 カルロス・ゴーン前会長が進めた拡大路線が行き詰まり、コロナの影響も重なって2019年度の3社の業績は総崩れの様相を呈している。「競争力と収益性を高める」取り組みとして、各社がリーダー役を務める市場や技術、商品群などを決め、リーダー役が他社の競争力向上を支援する「リーダーとフォロワー」の枠組みを採用し、新車1台の開発費を最大で4割減らす効果が見込めるとアピールしたが、コロナ危機の打開策が示されたとは言いがたい。

 ゴーン前会長が17年に示した3社連合の中期経営計画は、22年度の世界販売台数を17年より3割増やして1400万台にする目標を掲げた。独フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ自動車と世界販売首位の座を争ってきた3社連合が、両社を抜き去って世界一の自動車連合をめざす野心的な内容だった。しかし、19年の3社の世界販売は計1015万台にとどまり、VW・トヨタの後塵(こうじん)を拝した。

 日産の中期経営計画では当初、22年度に売上高16.5兆円前後、営業利益率8%という高い目標を掲げたが、ゴーン前会長の逮捕後の19年5月に売上高14.5兆円、営業利益率6%に下方修正。しかし、19年度は3社そろって純損益が赤字に沈む見通しだ。コロナの影響を受ける20年度も苦境が続きそうで、修正後の計画も画餅(がべい)に帰していた。

 27日の会見では、拡大路線と決別した3社が提携関係を利用して、過剰となった各社の生産能力をどう削減するも注目点だった。

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