すべてが「無」になった特別な代、だから吹奏楽を全力で楽しもう(奏でるコトバ、響くココロ)

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花咲徳栄高校

キセキの世代

 まさか自分の高校生活最後の年にこんなことが起こるとは――。埼玉県の花咲徳栄高校吹奏楽部のオーボエ担当、「シカマ」こと色摩姫乃(ひめの)は想像もしていなかった春を迎えていた。

 2月下旬にあった定期演奏会を最後に3年生が引退し、シカマたちの代にバトンタッチした。シカマはリーダーの一人、学生指揮者として部活を引っ張っていく立場だった。

 シカマは高校1年、2年とコンクールメンバーに選ばれ、西関東吹奏楽コンクールに挑んだ。2回とも金賞を受賞したが、悲願の全日本吹奏楽コンクール全国大会出場はならなかった。

 先輩たちが悔し涙を流す姿も2回見てきた。

 「今度はいよいよ私たちの代だ。先輩たちに恩返しをするためにも、絶対全国大会に行こう!」

 あまり思いを表面に出さないタイプだが、内心は燃えていた。

 ところが、新型コロナウイルスの感染が急速に広がった。定期演奏会の数日後には、政府が小中高校などの一斉休校を要請した。

 シカマたちが最後に登校したのは3月1日。吹奏楽部の練習場で吹奏楽コンクールの課題曲を練習し、ミーティングを行った。

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 顧問の川口智子は部員たちに…

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