五輪のコロナエンブレム、風刺か著作権侵害か 線引きは

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西村奈緒美 荒ちひろ 赤田康和
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 東京オリンピック(五輪)のエンブレムと新型コロナウイルスをかけ合わせたデザインが議論を呼んだ。大会組織委員会は「著作権侵害だ」と反発し、デザインを掲載した日本外国特派員協会はデザインを取り下げた。「パロディー」はどこまで許されるのか。

 デザインが掲載されたのは、特派員協会が発行する会報誌の4月号の表紙。会員は約2千人で、会報誌は紙媒体とウェブで公開された。手がけた英国人デザイナーは「五輪延期が決まった途端に国内感染者が急増し、人々は疑念を抱いた。日本をおとしめる意図はなく、五輪とコロナを風刺的に描いたものだ」と語っていた。

 これに対し、組織委は18日、「アスリートへの配慮を欠き、協会の品位をおとしめる。エンブレムの著作権を侵害している」と取り下げを要求。すると、特派員協会のカルドン・アズハリ会長は3日後の21日に会見を開き、「不快な思いをさせたことは遺憾だ。あくまで日本の著作権法上の問題として取り下げる」と表明した。ウェブ上のデザインを削除し、編集長の辞任に発展した。アズハリ会長は「日本の著作権法には風刺やパロディーの個別規定がない。議論が広がり、緩和されることを望む」とも発言し、「組織委員会も議論に参加してほしい」と呼びかけた。

「法的には微妙なケース」の指摘も

 著作権法は、他人の作品を勝手に複製・変形することを禁じている。だが、批評や風刺を目的とするパロディーは、元の作品の一部を使わざるをえないことがある。フランスの著作権法には「パロディー」を認める規定があり、米国著作権法にも、公正な使用なら許可を受けずに認められるという「フェアユース規定」がある。

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 日本の著作権法にはこうした…

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