トヨタ、危機でも1兆円投資 迫るライバルと「新日常」

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近藤郷平
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 今年度の営業利益が約8割も減ると見込むトヨタ自動車新型コロナウイルスの影響を「リーマン・ショック以上」とするが、研究開発費には過去最高水準の1兆円超を投じる。当時と違って、攻めの投資を続けるのは、新たなライバルの存在がある。さらには「ニューノーマル」と呼ばれる変化に対応した戦略も焦点となっている。

 「出血を止めるために、将来の投資も含めすべてをやめたことで、体重を落としスリムになったものの、必要な筋肉まで落としてしまった」

 5月12日にあった2020年3月期の決算説明会で豊田章男社長は、就任(09年)したリーマン後の4年間を反省を込めて、こう語った。社長就任は、4千億円を超す大赤字(09年3月期)を出した直後。生産能力の拡張とともに世界販売を急ピッチで伸ばしていった拡大戦略がつまずき、会社の建て直しを迫られていた。

リーマン後、「必要な筋肉まで落とした」

 金融危機のあとも、米国での大規模リコール(回収・無償修理)問題、東日本大震災など、次々と試練に直面。リーマン前に年間1兆円を超えていた設備投資に加え、未来の競争力の源泉となっていく研究開発費といった固定費を大幅に削り、利益確保につなげた。「財務に今ほど余裕がなく、絞らざるを得なかった」(幹部)。その後は円安の追い風や生産効率の改善や部品コストの見直しといった、お家芸の「原価改善」の努力などで業績が回復し、リーマン前を上回ってきた。

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