「新しい日常」に芸術は必要か? 田中功起さんに聞く

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聞き手 編集委員・大西若人
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 5人で1台のピアノを弾いたり、8人の市民が一緒に暮らして議論したり。美術家の田中功起(こおき)さん(44)は、人々が集まって共同で何かをする試みを映像化し、ベネチア・ビエンナーレなどで高い評価を得てきた。コロナ禍で人々が集まることが制約を受けている今、何を思うのか。アートのこと、社会のこと。オンラインで聞いた。

 ――コロナ禍で、田中さんの活動は制約を受けていますか。

 「京都での暮らしぶりはほとんど変わっていません。もともと海外の仕事が多いので、オンラインでのミーティングが中心でした。でも渡航制限などがあるので、展覧会や撮影などで実際に現地へ行くことができなくなっています」

 「ソウルで開く個展に合わせて、4月に現地で新作を撮る予定でしたが、それが丸ごと中止になりました。撮影費がなくなったので日本からのスタッフの給料も含めて、僕の編集費なども出なくなりました。加えて、その新作は将来的に販売の可能性があるものです。その新作によって次の展覧会の機会も生まれるわけで、連鎖的にそれらも失ったとも言えますね。その意味ではいきなり来月生活が苦しくなるわけではありませんが、1年後、2年後に長期的な影響が出てくる。そういう人は、僕以外にも多いんじゃないでしょうか」

 ――そういう状況もあって、自身の映像作品4本(現在は3本)をネット上で有料で公開されたわけですか(https://vimeo.com/kktnk/vod_pages別ウインドウで開きます)。

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 「大きくカバーできるわけで…

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