第11回政府の対策、なぜ支持された? 危機で見えた豪州の団結
私が医療現場でも使う高機能のマスクを買い増したのは、1月半ばだった。オーストラリアでは「P2マスク」と呼ばれ、日本のN95マスクと同じ規格だ。
新型コロナウイルスのためではない。昨年後半から国内で猛威を振るっていた森林火災の取材のためだ。新型コロナはまだ、「対岸の火事」だった。
煙と炎で上空がどす黒い赤に染まり、数キロ離れた燃える森から火の粉が降ってきた――。そんな異常な体験を被災地の人から聞き、圧倒された。全土で、日本の国土の6割に当たる2300万ヘクタールが燃え、3千棟以上が焼失した火災は、100年に1度か2度あるかというくらいの危機だった。
被害が直接及ばなかったシドニー市内でも、煙が運ばれてきて大気がかすみ、汚染指数がインドや中国よりもひどい「健康に危険」の日もあった。個人的には、週末の朝に欠かさないランニングの前に、大気汚染の情報を確認する時期が続いた。
そんななかで、政府の新型コロナへの対応は早かった。2月1日に中国全土からの入国を制限。その効果で感染は広がらなかった。2月半ばには森林火災がほぼ収まり、安堵(あんど)感が広がった。
だが、2月末から3月にかけて、イランやイタリア、米国などから帰った人から感染が次々と見つかると、じわじわと違う緊張感が漂い始めた。
シドニーのスーパーではトイレットペーパーを巡って、取っ組み合いのけんかをした女性2人が「乱闘罪」で起訴される事件まで起きた。ハンドソープやパスタに冷凍食品、米、牛肉、ジャガイモやタマネギまでが店頭から消えた。
政府も3月半ばから、再び手…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]