「全人類が経験ない夏」へ マスク、熱中症のリスクにも

有料記事

山岸玲 岡崎明子 水戸部六美
[PR]

 全国各地で本格的に夏日を記録し始めるこの時期から、気をつけたいのが熱中症新型コロナウイルス対策によるマスク着用や自宅で過ごす「巣ごもり」が、そのリスクを高める可能性もある。熱中症患者の増加が、医療体制の崩壊につながりかねないという懸念も出ている。

 「われわれは、夏場に大勢の人がマスクをつけて過ごすという、全人類が経験したことがない夏を迎えることになる」。熱中症に詳しい帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長はそう指摘する。

 人間は通常、体温より低い空気を吸いこみ、鼻の中や肺の中で温められた息を出す。空気が体内の熱を奪うことで、体が冷やされるという仕組みだ。

 それがマスクをつけていると、吐いた息がマスクでブロックされたり、呼吸で温まっているマスクを通じて息を吸ったりすることで、体がより熱を持ちやすくなってしまうという。

 また、マスクをつけていることで呼吸に負担がかかり、肋間(ろっかん)筋や横隔膜を必要以上に働かせることになる。運動しているのと同じ状態となるため、体温が上がって熱中症のリスクを高めるという。

 学校の再開に向けて文部科学省が22日に公表した衛生管理マニュアルでは、常時マスク着用をすすめるが、「熱中症などの健康被害が発生する可能性が高いと判断した場合は、マスクを外してください」と明記。体育の授業では着用の必要はないとした。

 一方で、三宅さんは「マスクをつけていることが、熱中症予防に有利に働くかもしれない面もある」とも話す。マスクをつけていることにより、息を吸ったり吐いたりするときに湿度が保たれるため、呼吸により失われる水分を抑えられるという。「マスクをつけることのプラス面とマイナス面を相殺し、熱中症のリスクが上がるかどうか、ということだと思います」

 夏向けマスクとして、通気性がいいマスクや、水で冷却できるマスクも販売されているが、効果はどうなのか。「熱中症の予防に効果があるかどうかを考える前に、新型コロナ対策として感染予防効果が証明されたマスクかどうか、確認しておく必要があります」

ここから続き

■「医療機関の多くが機能しな…

この記事は有料記事です。残り1193文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]