第4回「金づちで殴られた感じ」コロナで課題噴出 為末大さん

有料記事再考2020

聞き手・構成 伊木緑

再考2020④

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックは1年延期となった。東京大会の意義はどこにあるのか。立ち止まって考えてみたい。

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 東京大会は気候変動や分断など、社会課題解決のショーケースになると唱えてきた。日本のローカルな課題なら高齢化。硬直化した古い日本をアップデートする機会にもなると期待していた。成熟都市が五輪を招く意義として一つの事例になっていたはずだ。

 でも、いずれもこれといったインパクトが残せないまま本番を迎えそうだなと思っていた。

 2012年ロンドン大会では、大会組織委員会のセバスチャン・コー会長が「何のために五輪をやるのか」「スポーツは社会に対して何ができるのか」「アスリートファーストとは何か」という根本的な問いに繰り返し答え続けた。コー氏は1980年モスクワ、84年ロサンゼルスで連覇した元陸上選手。元アスリートの言葉は、世論の理解を得る上で大きかった。

 東京大会はどうか。「何のために五輪をやるのか」と聞いても誰も答えてくれないから、聞かなくなってしまった。その結果、開催が危ぶまれたとき、「五輪は必要だ」という世論が高まらなかった。

【動画】コロナ対策などで簡素化されることが決まった東京五輪。その姿とは
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