震災で消えた大会、柔道・新井千鶴 高3生「前向いて」

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構成・波戸健一
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 夏の全国高校総体につづき、高校野球の選手権大会も中止が決まった。スポーツに限らず、吹奏楽コンクールやNHK全国学校音楽コンクールなども取りやめに。9年前、東日本大震災の影響で晴れ舞台を失った経験がある柔道女子70キロ級日本代表の新井千鶴(26)=三井住友海上=が集大成の場がなくなった多くの高3生を思いやり、「必死に取り組んできた日々は決して無駄にならない」とメッセージを朝日新聞に寄せた。

大会目前、震災が発生

 新井は埼玉・児玉高2年の終わりに東日本大震災に遭った。初めて出場する予定だった全国高校選手権が、開催直前で中止に。それまで全国大会には無縁の選手だった。こつこつ努力を重ねて地区予選を突破。ようやくつかんだ大舞台が目の前だった。「中止が決まった時はショックで涙があふれ、気力もなくなりました」と振り返る。

 誰もが認める「練習の虫」が、練習場に足が向かないほど落ち込んだ。立ち直れたのは周囲の支えがあったから。母は「震災で被害に遭われた方がたくさんいる中で、柔道ができているということは当たり前ではなく感謝しなくてはいけない」と励ました。高校では、他の部活の先生が手作りの金メダルを手渡してくれた。「周りに応援してくれている人がいるんだということに気づかされ、いつまでも下を向いていたら駄目だと思いました」

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