いまこそ、謎が魅力の名画「宇宙の旅」を 解釈は無限大

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佐藤美鈴
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 長引く自粛生活で閉塞(へいそく)感が漂い、すぐそばにいるかもしれない未知のウイルスに戦々恐々とする日々。半径2メートルの身近な世界ばかりが気になりがちだが、こんなときこそ現実から少し距離をとり、時間と空間を飛び越え、心と思考をぐっと広げてくれる一作をオススメしたい。

 スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」。SF映画の金字塔と言われるが、半世紀以上前につくられたとは思えないほど現代にも響く作品だ。ひとことで言うと「人はどこから来て、どこへ向かうのか」を美しく詩的に描いている。

 はるか昔、突然現れた謎の黒い板「モノリス」に触れた猿人は、骨を道具や武器にするという知に目覚める。時は変わって人が月に行く時代、月面でモノリスが発見され、その電波が向かう木星に宇宙飛行士が派遣される。だが、宇宙船を制御する人工知能「HAL9000」が暴走し始めて……。

不可解の連続が、やがて…

 最初に観(み)たときは理解不能で「?」の連続だった。圧倒的な映像美と重厚な音楽。タイトル通り、宇宙を旅しているような気分も味わえる。ただ、それ以上に疑問がわく。モノリスとは何なのか。宇宙飛行士は結局どうなったのか。けれど、わかりにくさこそがこの映画の魅力なのだ。

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 「語り草になるような、いい…

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