5年近くに及んだ内戦で約40万人が犠牲になった南スーダン。「世界一新しい独立国」は今も苦境の中にある。今年2月に政府と反政府側が発足させた暫定政権は早くも対立があらわになり、新型コロナウイルスの感染拡大や原油の価格急落が安定に影を落とす。(ヨハネスブルク=石原孝)
「検査の結果、陽性反応が出た。14日間は自宅での自主隔離に入る」
南スーダンで新型コロナウイルスの感染防止対策チームを率いてきたマシャル副大統領は18日、テレビ演説で、自身と防衛相を務める妻が新型コロナウイルスに感染した、と発表した。チームのメンバーの多くも感染したことを明かすなど対策の甘さが際だった。
南スーダン
2011年にスーダンから分離独立し、アフリカで54番目の国家となった。国家収入の約9割を占める原油の利権などをめぐってキール氏とマシャル氏が対立し、13年12月から内戦に陥った。長引く紛争で武装勢力は分裂を繰り返し、家畜の奪い合いも続出。人口の3分の1の住民が自宅を失い、国内外に逃れた。日本は独立後の国づくり支援として、12年1月から自衛隊の施設部隊をPKOに派遣したが、17年5月に撤収。現在はPKOの司令部に要員を派遣している。
世界保健機関(WHO)の20日時点のまとめでは、国内の感染判明者は282人、死者は4人だが、政府関係者は「検査設備が限られており、実態はもっと多い」と打ち明ける。長年の内戦の影響から医療体制も脆弱(ぜいじゃく)で、人工呼吸器は数台程度しかないという。
現地には、国連平和維持活動(PKO)の国連南スーダン派遣団(UNMISS)が治安維持などのために展開しているが、避難民が暮らす首都ジュバの保護区でも感染者が判明した。活動は制約されており、感染拡大が懸念されている。
2大民族出身、2トップが対立
南スーダンが直面する難題は新型コロナウイルスだけではない。
2大民族の「ディンカ」出身…
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