日本人学校流、オンライン授業のススメ 若手教員が発信

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西村悠輔
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 新型コロナウイルスの影響で休校が続くなか、教師や親子に向け、双方向型のオンライン授業の進め方を海外から発信する若手教員がいる。シンガポール日本人学校小学部チャンギ校の教諭、片野祐斗さん(26)。4月からユーチューブで発信し始めた片野さんは、「僕たち自身、たくさん失敗して改善してきた。経験が誰かのためになればうれしい」と話す。

 シンガポールでは4月に入り、一斉休校が決まった。約870人の児童がいる同校でオンラインの在宅学習を行うのは初めて。中心的な役割を担ったのが、情報通信技術(ICT)に詳しかった片野さんだ。同国は厳しい外出制限で、「一時は散髪にも行けなかったほど。政府に従わないと大変なことになる」。派遣教員19人が日本から入国できず、担い手不足も深刻に。まずは「保護者が自由になる時間を確保する」ことに重点を置いた。当初は手探りだったが、段階的に導入を進め、今は全学年で実施している。休校は6月まで続くという。

 もともと同校では4~6年生にグーグルのPC「クロームブック」が1人1台ずつ、1~3年生にも共用機150台があるなど、環境は整っていた。ただ、「児童や教員全員が使いこなせているわけではなかった」。導入に向け、教員への研修も動画配信やメールなどで行ったという。

 双方向授業に活用したのが、学習管理ツールのグーグル・クラスルームだ。ネット上に「教室」を作り、教師の投稿は児童生徒と共有が可能。課題の提出や班ごとの討論もできる。また、画面で同時通話できる会議システムのグーグル・ミートで学級ごとの朝の会を15分行い、週2回の30分ミーティングも開いている。

 互いの画面をつなぐ意義は大きかった。「子どもたちにとって家族以外と話せないのはすごいストレス。誰かと話すことに飢えていて、少し雑談できるだけで気分が違ったようです」。実際の授業では、社会科で政治を学んでから、「総理大臣ならどんな政策をとる?」という課題を班ごとで話し合う場を作った。体育では「コロナに負けない体づくり」を目指し、全員でひたすら汗を流す室内運動も行ったという。

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