学校再開後もオンライン活躍?「積極的不登校」にも備え

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聞き手・宮坂麻子
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 新型コロナウイルスの感染拡大による休校で、様々な形で「オンライン学習」を模索する自治体が増えてきています。学校を再開した地域もありますが、第2波への対策も含め、どんな形で、どう進めるのがいいのでしょうか。教育の情報化に詳しい、国際大グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授(53)に聞きました。

とよふく・しんぺい 1967年北海道生まれ。専門は、学校教育心理学、教育工学、学校経営。横浜国立大大学院教育学研究科修了、東工大大学院総合理工学研究科博士課程中退。1995年より国際大GLOCOMに勤務、2004年に准教授に。長年にわたり「教育と情報化」のテーマに取り組む。

 ――4月以前からオンライン学習をしている学校と、担任の顔さえわからない学校。連休明けから学校を再開した地域と、再開できない地域。格差が出ています。

 学校が再開されれば、もうICT(情報通信技術)は不要と思われるかもしれませんが、再開後はこれまで以上にICT活用が重要になります。例えば、学級の人数を半分にして授業を行う場合、教師は単純に2倍の授業をこなせるでしょうか。

 都市部では、感染を恐れて保護者が登校させない「積極的な不登校」も増えるでしょう。新学期のスタートが大幅に遅れ、子どもも保護者も、本来通えていたはずの学校とほとんどやりとりができていないことに、不安や不満を抱いています。一方、学校のスケジュールが変更されるたびに、急きょ対応を迫られる教師側のストレスも相当なものです。

 そうしたデリケートな事情を差し置いて、学校を再開した途端、授業時数の確保のために詰め込みで土曜も夏休みも授業となれば、子どもの意欲は下がり、保護者の反発も強くなります。現実的には限られた授業時数を前提に、効率的かつ魅力的な学習を構成する工夫が求められます。ICTはそのために貴重な手段になるでしょう。

オンライン学習に必要な4つのこと

 ――今回の休校で、各地の教育委員会からオンライン学習への相談を受けて、まず学校公式IDの付与を勧められたそうですね。

 ICT教育には、端末、通信環境、公式ID、クラウド環境の四つが必要です。本格的なオンライン学習には、1人1台のノートパソコンやタブレット端末が必須です。文部科学省の「GIGAスクール構想」は大幅に予定を前倒しし、今年度中に配備を終えることになっています。しかし、数百万台規模の特需ですから、端末は手に入りにくくなっている上、設定や準備にはそれなりの時間がかかる。「すべてが整うまで待つ」という姿勢では、休校中の貴重な時間を無駄にしてしまいます。

 休校措置の最初の1カ月で学校が困惑したのは、子どもや保護者とのやりとりの手段を失ったことでした。学校に2、3回線しかない電話で順番待ちが生じたり、休校期間中はほとんど連絡が取れなかったりといった課題を残しました。

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 実は、オンライン学習そのも…

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