拡大する三菱電機本社が入るビル=東京・丸の内
三菱電機への大規模なサイバー攻撃で、防衛省が研究している最新鋭兵器「高速滑空ミサイル」の性能に関する情報が、同社から漏洩(ろうえい)した疑いが強いことがわかった。防衛省や防衛産業へのサイバー攻撃で、特定の装備に関する情報流出の疑いが発覚するのは異例。防衛省で安全保障上の影響などを調査している。
高速滑空ミサイルは、複雑な軌道を描いて超音速で長距離滑空し、敵のミサイル防衛網をかいくぐり、目標を精密攻撃する。中国、ロシア、米国などが開発を進め、防衛省も2018年度から装備化に向けて研究に着手している。
政府関係者によると、防衛装備庁が、その試作の発注先を入札で決めるのに先立ち、三菱電機を含む複数の防衛産業に貸し出した「性能要求事項」が、サイバー攻撃で漏洩した可能性が高いという。入札の結果、試作を受注したのは三菱電機とは別の防衛産業だった。
性能要求事項には、射程や耐熱性、推進力などが記されているとみられる。今後の開発過程でミサイルの性能が変わりうることなどから、特定秘密保護法で指定する「特定秘密」などの対象ではない。ただ、「防衛業務の遂行に支障を与える恐れがある」とした「注意情報」に該当。防衛装備庁は三菱電機にも情報保全の徹底を誓約させていた。
三菱電機への一連のサイバー攻撃で、同社は当初、採用応募者らの個人情報や営業・技術に関する社内情報流出の可能性があると公表する一方、「機微な情報は流出していない」としていた。ところが、2月10日に一転して「防衛省の『注意情報』が含まれている」と説明を変更。漏洩の中身については明かしていなかった。防衛省は他にも防衛装備の機微な情報が流出した可能性があるとみて調査を進めている。
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