イスラエル新政権、夏以降に併合議論 米政権の対応注目

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エルサレム=高野遼 ワシントン=渡辺丘
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 イスラエルで17日、ネタニヤフ首相の5期目となる新政権が発足した。国会演説でネタニヤフ氏は、パレスチナ自治区内にあるユダヤ人入植地などについて「イスラエルの法を適用する時がきた」と述べ、併合へ向けた議論に入る意向を表明した。一方的に併合すればパレスチナとの関係悪化は決定的となる。

 イスラエルでは、連立交渉が難航し、1年で3度の総選挙を繰り返してきたが、新型コロナウイルスへの対応を迫られる中、与野党が手を組む大連立で合意した。期間は3年間で、与党の右派「リクード」を率いるネタニヤフ氏がまず首相を務め、1年半後、野党の中道「青と白」から連立入りしたガンツ元参謀総長に交代する。

 新政権は連立合意の中で、併合に向けた議論を7月以降に始めると明記した。対象は入植地やヨルダン渓谷などで、ヨルダン川西岸地区の約3割を占める。パレスチナ自治区の一部にあたるが、半世紀前に戦争で支配して以来、事実上の占領を続けてきた地域だ。

 パレスチナはこの地に自らの国家樹立を目指しており、併合に強く反発している。パレスチナ自治政府のアッバス議長は13日、「もし占領地を併合するのであれば、イスラエルや米国との(治安維持などに関する)合意を再考する」と語り、強く牽制(けんせい)した。実際に併合に動けば、小康状態にあるパレスチナ情勢が悪化し、テロの頻発など治安が悪化することへの恐れは根強い。

 新政権がすぐに併合に動くかは不透明だが、ネタニヤフ氏は選挙戦を通じ、支持基盤である右派・宗教勢力に併合の意向をアピールしてきた。しかし強い反発が必至な中、選挙戦を終えて現実的にどのような政治判断を下すのかはまだ見通せない。

 また、連立相手のガンツ氏は併合を支持しつつ、パレスチナやアラブ諸国との対話も重視する慎重姿勢をみせている。併合を推し進めたい右派勢力の歯止めとなるかも注目される。

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■米国は慎重姿勢…

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