コロナ禍どう生きる、今福龍太さんに教え子の記者が聞く

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神宮桃子
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 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちのくらしを一変させた。緊急事態宣言が解除されても、政府が求める「新しい生活様式」のなかでは、人との距離感を保つことが求められる。

 未知のウイルスの脅威を理由に日々のくらしが閉ざされる今こそ、自分で考え、自由な心で生きていこう――。そんな示唆に富む、豊かな学びのひとときがあった。

 3月20日に異例の形式で開かれた、文化人類学者・批評家の今福龍太さん(64)の東京外国語大学東京都府中市)での「最終講義」だ。語られたことばの意味を、かつてゼミ生だった記者が報告する。

 教えや学びの場は学校に限らない、が信条の今福さんらしく、一般的な講義ではなく、映像や音楽、詩、劇、踊りなど多彩なパフォーマンスで、知の歩みを振り返るイベントになった。タイトルは「オペラ・サウダージ」。サウダージはポルトガル語で「郷愁」「哀愁」などの意味だ。さらに「人はいかにして民族学者から吟遊詩人になるか」という題がつけられた。

 上演は4時間半にわたり、かつての教え子や作家の赤坂真理さんらが次々と壇上に上がった。コロナを巡るニュースで世の中が縮こまるなかで、市民も広く集まり、異世界のような場と時を共有した。

 冒頭、今福さんが紹介したのは、米国の批評家スーザン・ソンタグが、1990年代にユーゴ紛争下のサラエボで演劇を上演した、というエピソードだ。

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 紛争という「非常事態」を生…

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