米中、半導体めぐり対立激化 供給網の切り離し加速

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ワシントン=青山直篤 北京=福田直之
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 新型コロナウイルスを巡って激化する米中対立が、「本丸」の技術覇権争いでも本格化してきた。トランプ政権は、中国の通信機器大手、華為技術ファーウェイ)への輸出規制を強化した。戦略的なカギを握る半導体をめぐり、米中の供給網の切り離し(デカップリング)が加速しつつある。

 米国が華為への制裁に踏み切ってちょうど1年の15日、米政府は同社への制裁の強化策を発表した。ロス商務長官は同日、米FOXビジネスに「外国企業を通じて華為が悪用できる抜け穴があり、今回のルールはそれをふさぐものだ」と話した。

 新たな強化策は、①華為や同社の半導体子会社「海思半導体(ハイシリコン)」が、米中以外の拠点で米国製ソフトウェアを用いて回路設計をする②華為やハイシリコンの設計に基づき、米国製の半導体製造装置を使い、米国外で半導体チップを生産する――という取引について、米商務省の許可を必要とし、事実上取引を制限した。

 華為は、半導体の生産を世界最大の受託メーカー台湾積体電路製造(TSMC)に委託してきた。台湾メディアによると、華為は昨年、TSMCの売り上げの14%に貢献した。今回の米国の制裁は、TSMCのような企業による受託生産を事実上制限し、華為を締め上げるのが狙いだ。

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 一方、TSMCは15日、米政府の支援を受けて米アリゾナ州に最先端製品をつくる半導体工場を建設すると発表した。投資額は約120億ドル(約1兆3千億円)。ロス氏は、米メディアにTSMCの誘致と輸出規制の強化は「全く区別された動きだ」と述べたが、TSMCの台湾拠点から華為への半導体輸出を細らせ、米国内で最先端製品をつくる能力を確保する米国の意図は明らかだ。

 コロナ危機で米国経済が深刻な停滞に陥り、トランプ氏は「中国との全関係を絶ってもいい」(14日、FOXビジネス)などと非難を強めている。華為への輸出規制には党派を超えた支持があり、トランプ氏のトップダウンではなく、商務省や国防総省などの実務官僚によって推進されてきたのが特徴だ。

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 米政府高官は15日の会見で…

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