元慰安婦問題、構造が変わる可能性 支援団体に強い不満

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 韓国で、元慰安婦を支援する市民団体「正義記憶連帯(正義連)」による寄付金の不正流用疑惑などが相次いで報じられました。団体の前理事長は4月の総選挙で文在寅(ムン・ジェイン)政権を支える革新系与党から立候補して当選しており、保守系勢力が批判を強めるなど、政界を巻き込む騒動にも発展しています。渦中にある正義連とは、どのような団体で、騒動の背景には何があるのでしょうか。また、日韓関係への影響はあるのでしょうか。神戸大学大学院の木村幹教授(朝鮮半島地域研究)に聞きました。

――正義連はどのような活動をする団体ですか。

 正式名称は「日本軍奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」。元慰安婦を支援する財団法人です。ソウルの日本大使館周辺で日本政府に抗議するために、毎週の「水曜集会」を元慰安婦や活動に賛同する大学生らとともに催しているほか、生存する元慰安婦の福祉支援、家族への奨学金支給、被害の調査研究などをしています。重要なのは、正義連はあくまで「支援団体」で、元慰安婦自らがつくっている団体ではないということです。その点は、本人や遺族が主体になっている元徴用工問題などの団体とは違います。

――設立の経緯は。

 1990年に発足した女性問題運動団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」が前身です。挺対協は2015年の日韓慰安婦合意に対抗し、16年に寄付金を募るために「正義記憶財団」の設立を主導しました。この正義記憶財団が挺対協と統合し、18年に正義連となりました。ただ、基本的には挺対協がそのまま正義連に移行したと考えていいと思います。

――どのような人たちで構成さ…

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