「この人のおかげで命ある」 暮らした橋の下、悼む人々

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藤田大道 編集委員・伊藤智章
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 岐阜市で3月、住所不定の渡辺哲哉さん(当時81)が襲われて死亡した事件で、渡辺さんが約20年にわたって生活していた河原には、花や手紙が次々と寄せられている。手を合わせる人の思いは――。

 4月下旬、近くに住む女子高校生(16)が、母親とともに現場を訪れた。渡辺さんと一緒に生活していた知人女性(68)に花束とメッセージカードを手渡し、こう打ち明けた。

 「小さい頃、車にひかれそうになったところを渡辺さんに助けていただきました」

 女子高校生が幼い頃、散歩の途中に道路に飛び出したことがあり、そのとき近くにいた渡辺さんがとっさに引っ張り、助けてくれた。事件後の報道で、父親が「この人のおかげで命があるんだよ」と話し、初めて知ったという。

 「いま命があるのは渡辺さんのおかげです。本当にありがとうございました」。涙ぐんで手を合わせた女子高校生のメッセージには、「来世では幸せに暮らせますように」と記されていたという。

 女性によると、これまでに届けられた手紙は5通。「事件を報道で知り、悲しみと怒りがこみ上げてきました」などとつづられていた。

 手作りの献花台は、花や手紙で埋まる。コーヒー好きだった渡辺さんをしのび、缶コーヒーも供えられている。渡辺さんがかわいがっていた猫のためにと、キャットフードを持参する人もいる。

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 「どうしてこんなことが起き…

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