息づかいがわからない、でも奏でる 在宅吹奏楽部の試み

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石川瀬里 宮坂麻子
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 離れていても、音楽でみんなとつながりたい――。休校が続き、学校の部活が再開できないなか、自宅などで練習を続ける高校の吹奏楽部や合唱部の部員たちが、オンラインでつながり、音楽を奏で始めた。「今、自分たちにできることを」と、様々な方法を模索中だ。

楽器なくてもスーツケースで

 午後6時半。東海大学高輪台高校3年で、吹奏楽部部長の小倉由佳さん(17)はスマホでテレビ会議システム「Zoom」を立ち上げ、部員とのミーティングを始めた。

 毎日、学校が配信する授業の動画が終わると、部員約100人がミーティングに参加する。発声練習や各係からの連絡、先生から部員へのメッセージなど盛りだくさんだ。小倉さんは「離れていても、みんなの様子が見えて安心する」と話す。

 同部は全日本吹奏楽コンクールの常連。昨年は3年連続10回目となる金賞を受賞した。2月の都アンサンブルコンテストでは金管八重奏が都代表に選出されたが、新型コロナウイルスの影響で全国大会が中止になった。10日、全日本吹奏楽コンクールの中止も決まった。

 3月からの臨時休校以来、部員は楽器を持ち帰り、自宅で練習に取り組んだ。だが、毎日朝から夜まで一緒にいた仲間と会えず、合奏練習もできない不安な日々が続いた。顧問の畠田貴生教諭のもとにも保護者から「子どもがふさぎ込んでいる」と心配する声も届いていた。

 みんなと顔を合わせて練習がしたい。でも、集まるのは難しい。4月からオンラインミーティングを取り入れ、各パートの専門講師によるオンラインレッスンを始めた。

 「何か自分たちにもできることを」と、部員それぞれがメッセージを掲げる動画を作成。その後「やっぱり合奏がしたい」と、定期演奏会の定番曲である「宝島」を「テレワーク合奏」することを決めた。

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 指定された音源を聞きながら…

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